価値基準

ありふれた奇跡』はやっぱり面白い。今週も面白かった。


このドラマの脚本を書いた山田太一さんの代表作である『ふぞろいの林檎たち』は実は見た事はないんだけど、(『金八先生』同様、過去のドラマ特集みたいなのでいつも放送されるので、見たような気にはなっている。)もし『ありふれた奇跡』がかつての山田太一作品よりも衰えた仕上がりなのだとしたら、全盛期はどれ程の面白さだったのだろうと興味が湧いてきます。


倉本聰さんとか、野島伸司とか(山田太一さんや倉本聰さんに比べれば若手だけど)、かつて大ヒットを生んだ脚本家がここんとこ再びドラマを手がけているけど、どうにもドラマというよりも「俺のメッセージ」が強すぎて、露骨に台詞で自分の思い(でも愚痴にしか聞こえない)を言わせて見たり、かと思うと現実にはありえないような奇抜な展開にしてわかりやすい見せ場を作ってみたり、なんかもうこの先生たちがもてはやされていた時代とは違っちゃってるんだなーと思わされるような感じだったんだけど、山田太一さんの話は媚びてないし押し付けがましくないし、しかも展開も飽きさせず、今日もかなり力を入れながら惹きつけられながら見ていました。


そして何より、加瀬亮さんとか松重豊さんとか風間杜夫さんとか井川比佐志さんとか、役者さんパワーが凄い。嫌な役だから褒めたくないけど岸部一徳さんも憎いくらい凄かった。


このドラマを見ていると、いわゆるエリートってなんなんだろうなーって思わされる。お金が通用しない世界では、つまり本当の意味で生き抜く力というのは持ち合わせていない人たちなのに。本当はどっちの男性も素晴らしいはずなのに、最近どうも価値が偏りすぎていて、仕事の内容よりも「お給料どれだけ稼げてる人なの?」っていう見方しかしなくなってるし、人柄的にダメそうな人でも高給取りなら一転して「凄い人」って変わる今の世の中変だ。多分島田紳助とんねるず石橋貴明の影響が大きいんだろうな。