空ぶかしの夏

佐藤浩市さんで思い出したので、ちょっと日にちが経ったけど、TBSのドラマ『官僚たちの夏』の感想。
開始当初は、すごく熱くて勢いもあって面白そうなドラマだなーと思ったけれど、回を重ねるごとに登場人物のキャラを変な解釈で曲げて描いたり、「城山さんがご存命だったら何と仰っただろう?」と余計な心配までするようになった。ドラマが終わってテロップが流れる度に、「お願いだから、“原作 城山三郎”と出さないであげてぇ〜!」と心の中で哀願していた。


「何故この時代に官僚万歳的な作品を?」と批判する声もあったらしいけど、私は、逆に今の風潮が官僚に批判的だからと言って、実在した人の話まで封印するのは公平さを欠くと思うし、原作を知っている側からすれば、「今こそこの作品を!」と思うくらいなので、その点は全く異論はなかった。ちょっと前に、テレビ朝日ビートたけしさんを主演にドラマ化して話題になった、松本清張さんの『点と線』のような、ああいう衝撃的で問題を提議してくれるようなドラマになると思っていたんだけど、うーむ、これは安っぽかったなぁ。


あれだけの名優を使っておきながら、芝居が盛り上がるどころか、終盤につれて「おや、役者さんたちノッてないね」と思える、形だけの演技になっていき、いくら役者さんたちが泣いていても、全く私の心は揺さぶられなかった。名優も新人も、演出しだいでここまで違ってくるんだなぁ。ただ、牧の配役に杉本哲太さんというのは素晴らしくピッタリだなと思った。