面白かったドラマ
『官僚たちの夏』以外にもいくつかドラマを見ました。面白かったものは
『刑事の現場2—リミット—』(NHK)
森山未來、武田鉄矢、加藤あい、ARATA、伊武雅刀、杉本哲太、若村麻由美 他
『再生の町』(NHK)
筒井道隆、岸部一徳、南果歩、段田安則、近藤正臣、吉田栄作、牧瀬里穂、中原丈雄 他
『派遣のオスカル〜少女漫画に愛をこめて』(NHK)
田中麗奈、 鈴木杏、徳井義実、尾美としのり、佐藤智仁、たくませいこ、金子さやか、上條恒彦、小林隆、ベンガル、平泉成、朝海ひかる、山本耕史(ゲスト)、YOU(ゲスト) 他
です。偶然にも全部NHK。
◆『リミット』は、予告を見た時からとても期待が大きかったんだけど、本編はその期待を大きく上回りました。やっぱり武田鉄矢さんは役や台詞に命を吹き込む天才。台詞の内容も痛快で、それが武田鉄矢さんの口から放たれる度に、快感による鳥肌が何度も立った。森山未來さんの話によると、「(武田さんは)一言一句、台詞を台本通りに喋らない。」そうです。言葉のまま受け取ると、台詞を全部変えちゃってるみたいだけど、多分そうではなくて、武田鉄矢さんの台詞には、必ずアドリブが入るって事なんでしょうね。
最後は、このドラマの勢いにしてはちょっと温かったけど、『セブン』のような終わり方にしてしまったら、結局犯人の望みを叶えてしまった事になるので、まぁこれで良かったのか。映画『インファナル・アフェア』の映画のテーマとして“無間地獄”っていうのがあったんだけど、それは生き続けなければならない辛さの事で、今回の犯人も、パーンと撃たれて簡単に命を終わらせるよりも、生かし続けて、嫌気がさしているだろう自分の人生というものをこの先も背負わせるというのは何よりの罰かも。そして、内観して反省まで辿り着ければ、本当の更生が待っているのかも知れないやね。そんな簡単じゃないか。
◆『再生の町』は「官僚たちの夏、下町編」という感じなんだけど、主人公の青年(30代)が、自分の夢破れて地元に帰り、仕方なく役所勤めをやっているんだけど、普通こういう設定の場合、演じている役者さんのやる気の無さがどうにも嘘くさいというか、言葉としては矛盾しているんだけど、力一杯やる気の無い人を演じていて、「今はやる気のない主人公だが、いずれやる気が出るのがバレバレだぞ」と思うんだけど、筒井道隆さんは本当にやる気が無さそうで自然だった。
自宅が区画整理の対象になっている石倉三郎さん演じる大工さんが、自分の住む地区を離れたくない(道路拡張などをして欲しくない)理由として、その地区にある祠を動かしたくないというのが凄く現実味があるなと思った。
それから、ぜひこれは書き記しておきたい事で、少しだけの登場なんだけど、筒井道隆さんのお父さんを演じている中原丈雄さんが素晴らしかった。回想シーンでしか登場しないんだけど、廊下で振り向いて、部下役の岸部一徳さんに向かって「行こう」と言う一言の台詞の中に、“役人でありながら、正しい事を貫くためには市長と闘う事にすら何のためらいもなかった父の人生”が全部詰まっている気がした。
役者さんの中には極稀に、自分の醸し出す雰囲気だけで、空気ごと芝居の世界に変えてしまう事が出来る人がいる。私が思うのは渡辺いっけいさんや武田鉄矢さん、そしてこの中原丈雄さんも確実にその1人。
◆『派遣のオスカル〜少女漫画に愛をこめて』は、まったくのノーチェック(興味が無いという意味ではなく、宣伝も見なかったし、ただ知らなかった。)だったんだけど、9時のニュースが終わってそのままボケーとしていたらドラマが始まり、気がつけば最終回まで欠かさず見る程ハマっていた。
私は、この物語のカギになっている『ベルサイユの薔薇』を読んだ事が無いんだけど、そんな私が見ても楽しめました。主人公が変なキャラで、普通そういう変なキャラって見ていてイラっとするんだけど、主人公を演じる田中麗奈さんが、その変さを可愛らしく元気な印象にうまく変換していて、田中麗奈さんが「弾こめー進撃ー!」と言うと、何故だかウルっと来る時があった。見終わった時の感覚は、同じくNHKのドラマ『風に舞いあがるビニールシート』と似ていて、「明日も頑張るぞ」という力強さをもらえた。(余談だけど、『風に舞いあがるビニールシート』は本当に好きなドラマだったなぁ。再放送してくれないかな。)
田中麗奈さんの相手役に、チュートリアルの徳井さんが出ていたんだけど、“徳井のまんま”で出ていたような気がする。会話のシーンでは、芸人としての間のうまさを見せつけられた。田中麗奈さんのもう1人の相手役、佐藤智仁さんがうまかった。この人芝居うまいっ!