ドラマの感想など

日記を書いていなかった間に観た、または今観ているドラマの感想。ネタばれあります。


・ちょっと前に終わったんだけど、今思い出しても心がじ〜んと痺れるのはNHK土曜9時のチェイス国税査察官〜』
多分、映像の色や音楽など、画面から伝わる雰囲気がど真ん中に自分の好みなんだろうなと思う。ちなみに私はジム・ジャームッシュ監督の『ゴーストドッグ』やM・ナイト・シャマラン監督の『アンブレイカブル』などの画面の雰囲気がたまりません。


出演者全員良かったんだけど、特に江口洋介さんがさりげなくて良かった。ああいう役だと、つい張り切って、名優のように自分が役に入り込んでいる感じを滲ませ過ぎる人がいるけれど、江口洋介さんはあくまで現実的に、かつラフになりすぎない感じで良かった。


そして不気味なARATAさんの存在感が光っていた。この人、本当に現代に存在しているんだろうか?と思えるくらい異次元な存在感。台詞はそんなに上手だとは思わないんだけど、きっと演出の人がそれをうまくカバーする演出をしたんだろうなと思う。「頓死や。」の場面なんて本当に気味が悪かった。あの場面を見る限り、本当に父親を憎んでいるんだなーと思うんだけど、それよりももっと憎むべきは母親だった。女の私から見ると、母親の方が許せん!と思うんだけど、息子ってそれでも母を慕ってしまうんだよね。


このドラマがあまりに面白かったので、ノベライズ本まで読んでしまったんだけど、本を読むとラストの印象が違った。本は本で頂くとして、ドラマを観た時の私の印象は、やっぱり仕事をとった江口さん、というものでした。それはちょっと寂しいな、と私は思っていたので、本を読んで救われた気持ちにはなりました。


・次に面白かったのはテレビ朝日『臨場』(2)。
『臨場』の1の方も観ていたけれど、さほどのめり込まなかったし、たまに見逃す週もあったりしたくらいだったけど、2の方はしっかり全部観た。特に『声』が良かった。あの回の脚本家は男の人なのに、なんであんなに、社会で働く女性がセクハラ男に対して抱く嫌悪感、軽蔑の気持ちを理解できるんだろう?


松下由樹さんって、以前からとても演技に熱心な印象で好感を持っていたけど、その熱心さが共演者と最も噛み合い生かされたドラマじゃないかな。松下さんを上回る熱い内野聖陽さん。というか、ドラマ全体が熱いよ。


NHK『八日目の蝉』も観ました。
ドラマの世界としては面白かったんだけど、壇れいさんの役が良い人で描かれ続けている事に疑問を感じる。壇れい親子につい「逃げてー!」と心で声援を送ってしまうんだけど、それは違うよなぁ。子供を後妻に奪われた坂井真紀さんに対して、私はもっと酷い事をしているんだ、という自己嫌悪や贖罪の気持ちが全く感じられない。そして、妻であり母親である板谷由夏さんの役が嫌な感じで描かれていて、まるで壇れいさんの役が犯した行為を奨励しているみたいだった。でも、繰り返しますがそんな道徳観を無視してドラマの世界として楽しむと面白いドラマだった。岸谷五朗さん演じるドラマオリジナルの役も無理なく溶け込んでいた。こういうのは珍しい。


・フジテレビの『素直になれなくて』もチラ見しました。
これは無い。チラ見、と書いたのは、とてもまともに見ていられなかったから。有名な脚本家の人が書いているけど、自分の脚本に疑問を感じなかったんだろうか?恐ろしくチャラい薄っぺらなドラマ。


・TBSの『新参者』も観ました。
これも酷い。東野圭吾さんって、映像化された自分の作品には文句を言わない主義らしいんだけど、もうそろそろ文句言った方がいいよ、と思いました。


黒木メイサの役も演技も邪魔だった。なんて演技の間の悪い人なんだ。向井理も台詞をごにょごにょ言ってて聞き取れないし、「ナチュラルに演じる」事と本当に友達と喋るように話す事を勘違いしているんじゃないかと思う。悲しくて泣くシーンがあったとしても、本当に悲しんで泣く必要は無くて、「悲しんで泣いているように観客に見える」芝居さえすればいいのに。どんなにボソボソと台詞を話しても聞き取れる武田鉄矢さんを見習えと言いたい。というか事務所の人はそのくらい教えてから芸能界に送り込んで欲しい。


・今観ているドラマはTBSの『アイリス』。これは切ない。
このドラマは、日本で放送をするずっと前に、MXTVの『5時に夢中』という番組に出ている作家の岩井志麻子さんがしきりに「今韓国で放送しているアイリスというドラマが面白くって続きが気になってしょうがない。」というような事を言っていたのを覚えていて、そんなに面白いなら見逃すのは勿体ないね!と思い見始めました。


これは、確かにドラマの内容は面白いんだけど、声優に問題がある。主人公のイ・ビョンホンの声を藤原竜也さんがやっていて、吹き替えの演技そのものはいいんだけど、声が合ってない。藤原さんは声の質は低いけど、キーは高い。ホルンで高い音を鳴らすみたいな。私は韓国通ではないので、イ・ビョンホンのドラマを観るのは初めてだけど、さすがにイ・ビョンホンがどんな声だかは知っているので違和感がある。


そして、また出た黒木メイサ。こっちは吹き替えの演技が酷い。私は、前出の『新参者』や、この『アイリス』を観るまでは、黒木メイサを買っていた(高く評価していた)のに、実はうまくない人だったんだと一気に露呈した感じ。


ドラマそのものの内容は、北朝鮮の核開発とか、韓国と北朝鮮の幹部同士が会う時にアメリカや日本がそれを監視していたりとか、今の日本では絶対作れないだろうなと言う位政治的に踏み込んだ設定。日本のロケのシーンでは、有名な子役が出ていた。名前は知らないけど、以前草なぎ剛さんが父親役のドラマで、娘の凛ちゃんを演じていた子。あの子がまさかあんな事に・・・。


このドラマの視聴率は低いそうなんだけど、外国のドラマってだけですでにハードルが上がっている事に加え、夜の9時放送なのに、最近の日本のドラマには無い濃厚なキスシーンがあったり、血が出る激しい銃撃シーンがあったりと、家族向けの内容ではないので無理もないかも。しかもあの吹き替え・・・。これでは韓流ファンは怒って観ないだろうし、一体誰をターゲットにしているのかわからない。ドラマそのものはハラハラして面白いだけに勿体ない。