終わりの始まり、『うぬぼれ刑事』と『熱海の捜査官』。

どちらのドラマも結末に向けて動きを見せてきた。


熱海の捜査官』の感想。
今週は田中哲司さんが出ていなくて寂しい感じ。でも最終回には登場するんですね。良かったー。松重豊さんや岩松了さんやふせえりさん、そしてその直前までTBSでバーテンをやっている少路勇介さんももちろん素敵なんだけど、このドラマでの田中哲司さんの存在は役も含めて際立っている。スピンオフで田中哲司さんの役を主役にして作って欲しいくらい。『鑑識課の坂善正道さん』


いつもは素敵俳優の松尾スズキさんがこのドラマではイマイチはじけきっていない役で残念。唯一いい味が出ていたのは、2話か3話のボリュームという名のレストランでのレミーちゃんとの会話くらい。松尾スズキさんが悪いんじゃなくて役が悪いと思う。


ちょいと話が脱線しますが、萩原聖人さんは演技は凄くいいのにナレーションとか声だけの仕事になると上手じゃないと思う。言葉の最初と最後で話すスピードや音量が微妙に変わって聞いていて気持ちが悪い(いわゆるキモイという意味でなく)。


捜査状況がずっとぼんやりとしていた『熱海の捜査官』だったけど、最終回に向けて、急に霧が晴れてきたみたい。蘇生治療云々の辺りではトマス・H・クックの作品を思い出した。


このドラマの設定は変えないまま、視聴者に対して初回からこのバスの事件を興味持たせるにはどうすれば良かったのかは私にもわかりません。「こういう感じだったら私は興味持ったのにな。」という自分基準すら思い浮かばない。事件を漠然とさせ過ぎたんだ。前にも書いたけど、運転手がバスを離れた間にサイドブレーキが甘かったのかバスが坂を下って湖に落ちてしまった、という内容は「事件」でなく「事故」だとしても通用してしまうくらいの事だもの。


初回で、バスが動き出す前に運転席の方に歩いて行く女学生がいましたよね。ああいう場面でもっと視聴者(私)が食いついていれば面白く見る事ができたのかなぁ。


まだ最終話を見ていないのでわからないけれど、なんかこのドラマはマクドナルドのCMと同じで、色々凝り過ぎて逆につまらなくなっちゃったみたいな感じです。激辛料理を並べ過ぎた結果、一品一品の辛さがよくわからなくなっちゃったみたいな。マックのCMも、かっこいい斬新なものを作ろうとし過ぎて逆にダサい。


なんて散々酷い事を言っているけど、ドラマは最終回で印象がコロッと変わる。来週は「終わりよければ全てよし」と言えてるといいな。




うぬぼれ刑事』の感想。
物語とは関係ないんだけど、個人的には長瀬さんくらいの年齢の人が女子高生に普通にトキめいているのが気持ち悪かった。女性で30歳過ぎの人が男子高校生に本気で(性的目線で)トキめいていたらかなり異様な気がするんですけど。自分の娘がロリコン男に何かされたら嫌だなとか想像しないんですかね。男子高校生は、将来こういうおじさんにならないように、今のうちに同級生の女子とどんどん恋をするがいい。


それはさておき本編の感想。奇声を発する長瀬智也さんが面白かった。長瀬さんって凄いですね。役の違いもあるんだろうけど、『池袋ウエストゲートパーク』や『タイガー&ドラゴン』の時から確実に進化している。『タイガー&ドラゴン』のSPやらないかなー。今ならもっと凄い虎児が見られそう。


ハードゲイだと思われていた監督が実は女性が好きで、しかも主演女優との結婚が決まっているのに、何も知らないサダメさんが仕事欲しさに「好きです」と告白をしてしまい、監督が共演者やスタッフの前で「主演俳優の性癖に気がつかなかったなんて・・・この通りだ!」と土下座をする場面がすごく面白かった。性癖までは気がつかなくても悪くないですから。さらにその話を聞いたうぬぼれ5の面々が「犯人役が毎回同じ女優ってありえないもんなー」とつぶやくのを聞き、あの監督がちょっと恋する顔になりながら、ありえないキャスティングをゴリ押ししている姿が浮かんで笑えました。そうか、もしかしたら既にそこから伏線は張られていたのか。恐らくクドカンさんは無意識だと思うけど、ジャニーズの人にその役を演じさせているのが画期的です。無意識は人を大胆にさせますね。


告白の場面で、うぬぼれ刑事が告白をするためにわざと無線を切っていると知っているのにそれを許している上司の大らかさが素敵です。週によって「早い」と言ったり。


それから、クドカンさんは変化を好むのか定番を嫌うのかわからないけど、告白の場面が週によってさらりと流されてしまう事があったけれど、あの場面は遠山の金さんや水戸黄門の印籠のように、「でたーっ!」「待ってました!」て感じで毎回きちんと言っても良かったんじゃないか、と思いました。ただ、今週の「パイポします。」のような変形パターンは凄く好きです。


犯罪者しか愛せない体質のうぬぼれ。まさかの中島美嘉さんまでもが犯罪者だったとは。このドラマも終わりに向けて大きな山場を迎えましたね。それまでふざけたトーンだった西田敏行さんが一瞬にして鋭い刑事の顔になり、うぬぼれに向かって「あの女な、クロだぞ。」という場面ではシビれました。