中毒は愛では治せない

再び逮捕された田代まさしの姿は衝撃的でしたね。
私はこの人が売れている時からどうにも好感が持てなかったので、また逮捕と聞いてもがっかりとか残念などの気持ちは全くないのですが、あの痩せ方にはショックを受けました。


あの痩せ方は、大きな内蔵の病気をしている人の痩せ方のように見えるので、もしかしたら大きな病気をしている可能性もあるけれど、もし本当に薬物の使用だけであそこまでの姿になってしまったのならば、クスリの恐ろしさを体現しているなと思いました。


人には大小問わず何らかの役割があるというけれど、田代まさしが自身で何かの役割を果たしたいと思うなら、自分の姿を、クスリがかっこいいとか勘違いしている、バカで暇をもて余している人達に見せつけて欲しいです。


それにしても、こういう事件が起こる度に聞かれる声(私の周囲やテレビのコメントなど)は「意志が弱い」というもの。


もちろん、私も以前ならそう思っていただろうけど、私は薬物の中毒性の怖さを夜回り先生こと水谷修さんの本や話で見聞きしていたので、単純に「意志が弱い」と責めて済む問題じゃないんじゃないかなと思います。


水谷先生や、最近だったら漫画家の西原理恵子さん(元旦那様がアルコール中毒、詳しくはぜひ本などで。)は「中毒は愛では治せない」と仰っています。重い病気や大怪我が誰かの祈りや愛だけでは治らないのと同じで、いくら中毒に陥った人を家族や友人が愛情を注いで献身的に世話をしても、もう「中毒」という病気にかかっているので、医者の専門的な治療を受けないと治らないものなのだそうです。専門的な事は忘れてしまったけど、クスリをやる事で、脳の機能(欲求を抑える役割)が壊れるだか弱まるだかしてしまうんだそうです。


多くの人達が目にするテレビに出て、いかにも知識があるかのように意見を言う事でお金を貰っているコメンテーターが知らないというのは問題だと思うけれど、私も水谷先生や西原さんの話を聞く前にはそういう事は知らなかった。という事は、そういう事に興味を持たずに過ごしてきたり、そういう話に触れた事が無ければ、一般の人は知らなくてもしょうがない事なんだろうと思う。学校によっては水谷先生を呼んで講演してもらったりしているだろうけど、それは学校側の好意であって義務ではないので、みんながそれを必ず教わっているわけではないはず。


世間一般に「クスリに再び手を出すのは意志が弱いからだ。」という認識が広がっているという事は、目線を変えれば、手を出す人達の中も「自分の気持ち次第でいつでも止められる(だから今回だけはやっちゃおう)。」くらいの意識でしかないという事。全国的に中毒の怖さを広めるには、やはり個人の力では相当大変だと思うので、ここは国の力で、小中高で一年に一度は必ず薬物の怖さについての講義をするとか、違法薬物所持の罰則を強化するとかしないと、どんどん犠牲者が増えてしまうと思います。