悪気は無い、の鈍感さ

 BBCでいきなりダウンタウン浜田雅功さんの黒塗り画像が出てきてビックリ。この番組(『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』)は見てなかったので、それが不快なものだったのか笑えるものだったのかはわからないが、どうやら番組を作った側(日本テレビ)に差別の意図はなかったみたいだ。まぁ、差別の意図があってそういうシーンを入れてくるくらい覚悟(間違った覚悟だが)のあるテレビ局は日本にはないだろうけど。

 番組を作った人達は思考力が島国の鎖国時代のままという感じで、これから勉強していくしかないのだろうが、それよりも心が暗くなったのは黒塗りは止めてと言われた日本人(視聴者含む)のリアクション。アフリカ系アメリカ人が「黒塗りを笑いのネタにするのは止めてくれ」と言っているのに、何故か関係のない日本側の人間が「考え過ぎだよ〜」と受け流す。いやいや、何故本人が「嫌な思いをするから止めて」と言っているのに横の部外者が問題ないと判断するのか。差別の意図はなかったとしても、本人に伝える言葉は
 「馬鹿にするとか悪い意味は全くなかった。でも、あなたに嫌な思いをさせてしまったなら大変申し訳なかったです。以後気をつけます。」
ではないのでしょうか?
 「おもてなし」って相手の立場で物を考え行動する事ですよね。

 悪気はなかったとか言っても、例えば町内にアフリカ系の外国人(仮にジャネットさんとする)が住んでいて、町内で新年会でもやりましょうかとなった時、日本人の住人が「ジャネットさんのモノマネしまーす」と黒塗りで現れたら、いくらジャネットさんを好きでやった事とはいえ、他の日本人の住人もザワザワっとすると思うぞ。ジャネットさんの仕草などの特徴を真似ればいいのであって、黒塗りにする必要ないんでない?と。ボインの奥様の真似をするといって男の人が胸に過剰なまでの詰め物をして出て来るのと失礼さで言えば同じ。そこを誇張します?と。ただ単に今の日本人が思考力が下がって、鈍感になっているだけなのでは。女性にセクハラして、それを相手に指摘された時に「いいじゃねぇかこのくらい!減るもんじゃないんだし!」と開き直る男みたいだ。こういうタイプはこの種の事に鈍感というか、原始人並みに意識が未発達なのだろう。

 以前にも書いたが、こういう問題が起きると必ず芸人側から「笑いのためには多少人を傷つけるのも仕方がない」「それが笑いというものだ」という意見が出てウンザリする。フジテレビのとんねるずのホモのネタもそうだけど、何故弱者だったり、本人では変えられない事(見た目など)を傷つけるのか。「傷つける事が笑い」だと言うのなら、権力者側や強い人間に向かっていけばいい。そこには噛み付かないで弱い者や少数派をからかって笑いをとる。抗議がこなかったとしても、見ているこちらが知らず知らずのうちにギスギスした気持ちになるだろう。

 ちなみに、外見を真似されて不快な思いをするのはアフリカ系の人達だけではありませんよ。以前にバカリズムさんがANAのCMで着け鼻をしてヨーロッパ系外国人の真似をしてたら抗議がきて、そのCMは中止になりました。鼻が高い、なんて団子っ鼻だらけの日本人にとっては憧れでしかないのに。でも公(おおやけ)に向けて何かを表現した途端に、その評価は受取手のものになる。日本は島国のままでいいよ、鎖国してよ。という人ならまだしも、「世界の日本」だの東京オリンピックだのとはしゃいでいる人達は、せめてそのくらいの事は脳裏に焼き付けておいた方がいい。