一つのメダルにも数千の汗

大変!今江が骨折しちゃったよ!
今、TBSのスポーツ番組で、WBCの監督は誰がいいかという生アンケートを視聴者の電話投票で受け付けているんだけど、途中経過で1位は野村克也さんなんだけど、2位に王貞治さんの名前が。その投票をした人には王さんを殺す気かといいたい。そのプレッシャーの中に身を置く人の気持ちも知らず、ただ外野で好き勝手な野次を飛ばしているのとは訳が違う。


本題。
『サキヨミ』という番組で、北京オリンピックで銀メダルを獲得した、フェンシングの太田雄貴選手たちを影で支えた人について取り上げていた。


今回のオリンピックでは選手たちのインタビューは優等生発言が多すぎる、という人が多かった。望み通りの結果が出た選手は「支えてくれた人たちに感謝したい。」、思い通りの結果でなかった選手は「でも精一杯やって、これが今の実力なので結果には満足しています。」というもの。


確かに、ハタで見ている方からすれば、「いつもの実力が全然出せてないじゃん!」「舞い上がっているのか、集中力が切れてるみたいだ。」と思えた選手まで「結果に満足。」とか言われると、えー、そうなのー?とついつい思っちゃうんだけど、多分こういうタイプの選手は、そう思う事でストレスから逃げてる(良い意味での逃げ)んだろうなと思いました。


今は私がやってた頃のスパルタ&スポ根時代と違い、多方面での科学的・医学的な研究が進んでいるから、負けて悔しがる心理が強くなる近道とは限らないとわかってきた。卓球の福原愛選手なんて、世界ランク1位の張怡寧と対戦した時は試合中から笑っていたけど、多分「また1本取られた!きーっ!」となる事を極度に避けている印象を持ちました。だって負けず嫌いの愛ちゃんが、負けて本当に楽しくて笑っているとは思えない。


満足のいく結果の得られた人たちが発する「自分を支えてくれた人たちに感謝。」という言葉も、最近の選手たちのイメージトレーニングとして使われているらしい。以前何かで読んだのだけれど、アメリカとか、宗教が根強く普及している国の選手が、日本の選手に対して、「宗教を持たないお前は一体何を心の支えにしているんだ!?」と、本当に不思議に思っている感じで聞いてきたそうなのです。不安な時に、自分をいつも天から見ている神様がいないなんて!と。


イメージトレーニングの話が本当なのだとしたら、恐らく、日本の選手はその神様の代わりに「自分は一人で戦っているんじゃない。自分を支えてくれる人がいる・・・。」と思うようにしているのかも。


前置きが本題よりも長くなりましたが、『サキヨミ』で取り上げていたフェンシング協会は本当に費用がなく、金欠で引退をした有望選手もいるくらいなのだそうです。確かに、私は強くなかったので国内の試合や合宿しか回りませんでしたが、それでも旅費など結構なお金がかかりました。(私がやっていたのはフェンシングではありませんが。)オリンピックで活躍したかったら、当然戦う相手は国内ではなく海外に多くいるのだからどんどん海外の試合に出て対戦相手を知っておかなければならない。特にフェンシングは日本が本場じゃないから尚更でしょう。


それに加え、普段は仕事をしながらなので満足に練習もできない選手たちなのですが、協会は、今回は北京五輪に備えて合宿を敢行し、その費用だけで6500万円かかったそうなのです。ヒヨエ〜!


そこで、協会の財務担当の方が、各企業や友人知人を回ってお金を工面し、そのかいあって銀メダルの快挙を手に入れる事ができたのです。


今回はたまたまフェンシングだったけど、スポーツのドキュメント番組を見ると、本当に選手ってのはたまたまプレイヤーとしての素質があっただけで、その選手を表彰台に乗せるために、教える才能や、お金を集める才能、食事管理の才能、野球だったらスコアラーとしての才能などなど、他の才能や素質を持った人々がそれぞれ自分にできる分野での努力を最大限にした結果の集大成で手に出来たメダルだっていう事がよくわかる。


だから、感謝を口にした所で、それは優等生発言でもなんでもないと思うし、自分の努力や才能だけあれば勝てるんだ!と思うような人ではなく、周りの人間の苦労を知っている人間こそが、アスリートの夢であるメダリストに選ばれるんだろうなーと思いました。


ただ、アメリカのアカデミー賞の受賞コメントみたいに、「まず私を産んでくれた両親に感謝します。そして私を導いてくれた山田監督に感謝します。それから、スポンサーを紹介してくれた電通の担当者の子根田さんに感謝します。それからスポンサーの・・・・(延々と続く)」というように、インタビュー中ずっと感謝を伝える相手の名前を列挙するような事態にはなって欲しくないなーとは思います。