人の死をプロパガンダに使うな

台風通過で心配しましたが、自宅の庭もこの通り、整然としています。

なんちゃって、もちろん自宅ではなく皇居です。


あと5分待っていれば神様が降りてくるのではないかと思うくらいの雲。

空にかなうアートなんてあるんだろうか?byオノ・ヨーコ


本題。
土曜日に放送していた『なでしこ隊』のドラマを観ました。犠牲になられた方々の思いや残された方、見送らざるを得なかった方々の無念には心を打たれました。今でも戦死した婚約者を思っている女性が、軍服に顔をうずめて涙するシーンはたまらないです。わずかな温もりでも感じられていればいいのだけれど・・・。


でも、ドラマそのものに私は大いに不満が残りました。結果的に、「悪いのは敵国アメリカ!我々の今があるのは戦争で戦った人たちのおかげだ。そんな兵士が眠っている靖国を大切にしよう。」というようなメッセージを私は強く受け止めたのです。でも、特攻隊の作戦なんて考え出したのは日本だ。しかも海軍だけでは足りなくて、陸軍でほとんど航空機を操縦した事のないような学徒まで動員して、特攻隊の参加はほぼ強制だった。参加を選択する用紙に「希望せず」と丸をした人まで参加させられている。軍の中尉もこんな作戦で勝てるはずがないと知りつつ、兵士を死にに行かせた。当の中尉は95歳の寿命を全うしたけど。


振武寮の事にも触れてはいたけど、あそこで自殺者が出た事とかはやっていなかった。敗戦の色が濃厚なのに勝っているかのような記事を載せ続けた新聞記事についてもそう。あれは新聞社が積極的に記事を捏造したのではなく、政治の介入によってそうせざるを得なかったという証拠や証言が沢山残ってる。なんか、積極的に情報を流しているようで核心は隠すという箇所がとても目についた。これも、このドラマのテーマである、特攻隊を「軍神」と報道させた当時の政府と同じで、私たちは戦争に反対してこんな素晴らしいドラマを作ってますよ。という世間に向けてのプロパガンダみたい。


最近はこういう偏った意見を書くと「何々派」とかすぐカテゴライズされちゃうんだけど、私は感覚的に「おかしい」と思った事をその都度「これはおかしい」と指摘しているだけなので、どっち派とか思想めいたものはありません。あ、戦争は反対だという事はいつも思っています。


以前あるジャーナリストが戦争に関して「原爆を落としたアメリカだけが悪いのではなく、日本が中国やアジア諸国に対して同じような犠牲を出した事を忘れてはいけない」と発言しただけで、その手の事を嫌う一派が猛反発をしたそうなんだけど、何でなんだろう?そこから補償とかになると話が別だけど、日本国民の認識としては、なんで戦争は始まったのかとか、日本が犯した愚かな行為とか、そういう事を知ったからといって「2度と戦争を起こさない」という意識にマイナスになる事はないと思うんだけど。真実は知らせず、悪いのはアメリカで自分達は一方的な犠牲者であるかのように子孫に思い込ませる方が危険だ。