安倍晋三を戦闘地に。

筑紫哲也さんの追悼番組を見ました。切ないー。幼馴染のお父さんが亡くなったみたいな、何か温かい存在を失ったような気分です。そんな中、進行役の膳場貴子さんが涙を見せずに伝える事に徹してしたのが素晴らしかった。筑紫さんの最後のパートナーにふさわしい人だったんじゃないかなと思いました。


放送が始まった時は私もまだ学生だったんだなぁと思い出しました。若い時というのはニュースキャスターと言えば自分たちとは次元の違うような頭の固いオジサン、というイメージがあったんだけど、筑紫哲也さんがそれを変えてくれたんだよなぁという記憶も蘇ってきました。発言が押し付けがましくないというのはもちろんの事、人間的にも、広島カープが勝って球場で泣いている姿を見て、この人子供みたいな人だ、と思ったのがそのきっかけ。


NHKで深夜に放送していた緒形拳さんの追悼番組を見た時にも同じ事を思ったのですが、人の死というのは悲しい事なんだけど、命を全うした人について生前の思い出を語る時、思わず笑いが起こるのがせめてもの救いです。自殺だとなかなかこうはいかない。生きていた時間まで否定するかのような自殺はやっぱりいけない事だ。


福田康夫元首相とは友人でもあったんですね。追悼番組で触れていた福田首相(当時)との対談を見ていましたが、福田さんは意外にも饒舌だったのを覚えています。しかも質問をはぐらかす事もなく的確に筑紫さんの答えていて、この番組を見て福田さんの印象が良くなりました。誤解を与えやすい人だけど、福田さんは悪い人じゃない気がしました。ただ、決断と誇張気味のアピール力を求められる首相には向かなかった。石井慧選手が福田さんについて「腹黒くない」、と言っていたけど、案外当たっているかも、と私は思います。


追悼番組を放送してくれるのは嬉しいというかありがたいんだけど、欲を言えばもっともっと筑紫さんの残した言葉を放送して欲しかった。具体的には覚えていないものとか見逃しているものもあって、VTRの筑紫さんの言葉に聞き入っていると、途中でナレーションが入ったりVTRが切り替わったりしてしまった。立花隆さんが手にしていた他事争論の本欲しいな。


この日記を打っている今も田母神氏の参考人質疑の場面がテレビに映し出されている。戦争は、参加を決めた人間が戦地には行かず安全な場所にいて、何も知らない国民を法律を作り強制的に戦地に向かわせ戦わせたという点では、それに関与した全ての人間が罪悪だと思う。なのに当の政治家の子孫たちは未だに「中国の陰謀だ」「日本は悪くない」とか面子にばかり夢中で、戦争に行かされ死んでいった国民の事なんてこれっぽっちにも贖罪の気持ちがない。有事になったら安倍晋三がヘルメットを被って銃撃戦の先頭に立つならば、戦争でも何でもやればいい。おバカブームに乗せられて疑う事や思考する事を忘れた人達が溢れる今、筑紫さんの死が悔やまれてならないです。