チーム・バチスタの栄光 最終回の感想

私は原作も読んでいないし映画も観ていないので、やっと真犯人がわかるぞという反面、もう終わってしまうのかという寂しさもあり。原作者の方がチラ出してましたね。ヒッチコックか。


ドラマは好きなので、好きさゆえに結構批判的な見方もしてしまう私なのですが、この『チーム・バチスタの栄光』は、最終回を過ぎた今でも文句なく面白いと思えるドラマでした。出ている役者さんたちが素敵な人ばかりで、特に主役の伊藤淳史さんは本当に素晴らしいと思いました。他には誰がありえるのかというくらい、ドラマの中で田口として生きていました。喫茶店のマスターもリアルだった。


ストーリーの中に入り込んで想像すると、手術の場面で幻想のようにぼわ〜っと城田優さん演じる氷室先生や、この人を殺した若い助手などが登場したけど、純粋なぐっちには、その場にはいなくても罪を悔いたそれぞれの思いみたいなものがそこに集結し、あの難しい手術を成功させようとしていたその姿が見えたのかも。そしてそれは、チーム・バチスタのメンバーが揃う最後の姿。うーん、泣ける。


手術が終わった後に手術室の出入り口で鶴見辰吾さんと伊原剛志さんが対峙するシーンもとても印象的でした。自分の一瞬の悪意を悔やむ垣谷先生と、その話を聞いても顔色一つ変えず、自分にミスを起こさせた人間を責める事すらしない桐生先生。多分、垣谷先生の犯行とは言え、自分の眼が良好な状態なら防げた事だ、という思いがあるのだろうし、人間の命を数千件も救ってきた人はたやすく感情を乱したりしないんだなという事を感じました。このドラマは、そういう細かい人物設定がブレていないし、物語を盛り上げる効果になっていたと思います。


最初に事件の真相がわかった時には、遺族の悲しみや辛さをチームの中で唯一体感している垣谷先生が何故同じ苦しみを別の家族に?と、その犯行動機に矛盾を覚えたのですが、そんな違和感を、罪を明かし罰を受ける事に開放感さえ感じ、でも一時の感情に囚われて患者さんを死に追いやった事への後悔の念みたいなものが交錯している鶴見辰吾さんの表情が消してくれました。娘を愛してその死を悔やむあまり、その死を防げたのではないかという疑念にかられて魔が差してしまったんだろうなと。


なんだか好き勝手に色々な想像をしていますが、これはこのドラマの出演者の方々がそうさせているんだと私は思います。やっぱり役者さんが素晴らしいと、台詞やト書きにない部分も表現する事ができ、それは画面には写らない部分まで膨らんでいくのだと思います。