悲しい程におめでたい男

竹中平蔵氏がこんな事を言っている。

日本を次に待ち受けるのは危機=竹中平蔵・慶大教授

(一部引用)竹中氏は、現在ベトナムで開催されている世界経済フォーラム東アジア会議に出席する傍ら、本紙のインタビューに応じ、日本は典型的な「CRICサイクル」の最終段階にあると説明した。CRICとは、モルガン・スタンレー証券チーフエコノミストロバート・フェルドマン氏が提唱する考え方で、Crisis(危機)、Response(反応)、Improvement(改善)、Complacency(怠慢)の頭文字を取ったもの。

 サイクルの第一段階では、危機(Crisis)が小泉首相を誕生させた、と竹中氏は述べる。小泉氏は、日本の経済問題に対して、銀行の不良債権処理を含め、当時経済財政政策担当相の竹中氏を中心に、厳しい施策で積極的に対処(Response)していった。そして、その結果、事態は改善(Improvement)した。

 「小泉政権後から現在まで、われわれは怠慢(Complacency)の段階にある。その意味で、次に予想されるのは、新たな危機の到来と新たなリーダーの誕生だ」と、竹中氏は話す。

キャー!おめでたいよー!!自分たちのやった事を未だに正当化している。というか、この人本当にそう思い込んでいるんだね。まぁ確かに、日本にハブ空港を持つというのは同感。だけど、こんだけ日本に無駄な空港を作っておいて、肝心のハブ空港は無いって、それも自民党時代の責任じゃん。しかも「日本にハブ空港を」って意見だって、韓国のハブ空港に日本の乗客を奪われて初めて気がついた(危機感を覚えた)ようなもので、それまでの著名人で、その事を声高に言っている人はいなかったんじゃないか。マスコミに取り上げられない人の中には、危機を唱える人がいたのかも知れないけど、竹中氏は政権に関わっていたのだからその言い訳は通用しない。もし本当に竹中氏が何の反省もしていないのならば、こんなに現状を客観的に把握できない人が、政府の重要な仕事に関わっていたなんて背筋が寒くなるよ。ブルブル・・・。


しかもこの人、小泉政権時代の旨味が忘れられないのか、自分から議員を辞めたくせに、なんかチョロチョロと政治家の周りで自分をアプローチしているのが気になる。また、耳元で悪魔の囁きでもしているんだろうと思えてならない。


そういえば数ヶ月前にも東京ローカルのMXTVの『東京の窓から』(だったかな)という、石原都知事の対談番組にゲストで出ていたんだけど、その時も慎太郎氏にあれこれと自分のプランを語り、慎太郎氏はその度に「ほほ〜」「いいねぇ」と賛同の声を上げていた。


でも、私から見ると、都知事の方はまだ計画の先に品というか文化があって、例えば東京の土地開発の仕方でも、やたらと空いた土地に何かを建てればいいというのではなく、自然を残す部分と開発地をきちんと区分けすべきだとか言っていたんだけど、竹中氏はそういう意見には無関心で、やたらと企業側にメリットを求める(今回の記事で言えば“法人税率を現在の40%から、香港と同水準の17%程度にまで引き下げる”とか)ような事ばかり話していた。ってか、自分の意見を正当化させたい人ってすぐ「アメリカでは〜」とか他所の話を持ち込んで誤摩化すんだけど、竹中氏も香港と同水準とか言って、何故香港に税率を合わせなければならないのだ!と竹中平蔵に言いたいよ。


経済学者でも、本当に人によって言う事が違う。それは他のジャンルにも言える事で、例えば医者も、癌の治療一つとっても、「科学治療は一切せず、自然治癒や漢方で改善していきましょう。」という医者がいたり、「すぐに手術して抗がん剤を投与しましょう。」という医者がいたりと様々。そんな中で、本当に良い医者というのは、「この患者のこの症状やこの免疫力や精神力ならば、この治療法が良いだろう。」と患者によって対応を的確に治療法を変えられる人だと思う。これを経済学者に置き換えると、何でもかんでも「自分が正しいと信じるデータ」をゴリ押しする人(へいぞうの事)ではなく、正確な現状や国民性や時代に適した方法を考え出せる学者こそ、本当に優秀な学者なんじゃないか。つまりはいつも同じ事しか言わない竹中平蔵氏は、よっぽど傲慢なのか、実は色々な状況に応じたデータを知らない、引き出しの少ない人なんじゃないかとも思えてくる。


大体竹中氏はいつも「法人税が高すぎるから、優秀な企業がどんどん海外に流出してしまう。」って言うんだけど、私から言わせれば、そんな自分の儲けばかりを優先するような会社は海外に出て行ってもらって結構!日本を本当に良くしたいと思う会社だけで頑張りますから!と言いたい。法人税を安くした所で、そういう理由で日本に留まる会社というのは、儲けが出たところでどこまでそれを末端の社員に還元するかわかったものじゃない。末端の社員に還元されなければ、会社のトップばかりが肥え、結局社会の消費は活発にはならない。


小室哲哉だって、日本の税金が高いからと言ってアメリカに移り住み、日本人にCDを売ったお金(つまり日本人のお金)をアメリカに納税するという、ある意味裏切り行為(気持ちの上だけだけど)をしていたけど、結局今はああいった感じじゃないですか。お金ばかりに執着する人って、結局は破滅するんですよ。だって、そういう人の欲には終わり(これでいいという満足)が無いから。