脳は考えてこそ活きる

昨日NHKで放送していた『ホロコーストを生きのびて〜シンドラーユダヤ人 真実の物語〜』は強烈でした。
NHKのHP


戦後、せっかくシンドラーさんに救われて生き残ったユダヤ人が、故郷に戻って殺されていたり、シンドラーさんも英雄として幸せに暮らしたのかと思いきや、ドイツ人から非難され、千人以上の人の命を救った人とは思えないような過酷な目に遭っていたり、収容所で何人も遊びのように捕虜を殺した収容所の所長の娘と捕虜の交流や、そして何より、あの最後の告白。


彼がその話を始める前には、画面を通して見ている私にさえ「今からこの人はとても重要な告白をするようだ」と伝わる程、強い覚悟と諦めの混じった表情をしていた。その出来事が自分の中で過去になっていない事を証明するかのように。


こういう番組を作ってくれたNHKには心から感謝をしているんだけど、一つ残念というか不満だったのは、涙を流すシーンでカメラが目元に寄り過ぎ。泣くって、涙を流す事ばかりじゃない。いや、生物の泣くという定義は涙が流れたかどうかなのかも知れないけど、泣いた事を伝えるのに重要なのは、目尻に滲む少量の涙にクローズアップする事じゃないと思う。何なら背中だって伝わる。


8月13日(金) 午前1:05〜1:55(12日の木曜の深夜)に再放送があるので、興味のある方はぜひ。録画してでも見て欲しいです。


本題。
時効警察』&『帰ってきた時効警察』に比べると、『熱海の捜査官』の視聴率が芳しくない。まだ2週目だけど。


時効警察』      平均視聴率 10.1% 
帰ってきた時効警察』 平均視聴率 12.0%
熱海の捜査官』    2週の視聴率 9.9%→8.5%
※視聴率はWikipediaより引用
・時効警察&帰ってきた時効警察 Wikipedia
・熱海の捜査官 Wikipedia


見ているだけの私としては、視聴率が高かろうが低かろうが、面白さに何ら変わりはないのだけれど、最近のテレビの傾向として、ちょっと複雑だったり、台詞による説明を少なくして、画面から想像させる形をとっているドラマってあまり高い視聴率にならない気がして、日本人の頭脳が心配な私です。


最初にこの話を聞いた時は思い当たる節がいくつもあって背筋がゾクッとなったんだけど、保守系のメディアって、戦争を始めたり、そのために国の都合のいいように法律をこっそりと変えていく時に、国民が賢くない方が都合がいいから、テレビでエロやお笑いを大量に流して、国民から「考える力」を奪って行くんだそうです。国民が賢くなると、また60年代の安保闘争みたいのが起こるから厄介なのでしょう。ニュース番組でさえ、“政治とカネ”など、記憶に残りやすいワンフレーズを連呼して、こちらの思考力を削ぎつつ一つのイメージを強烈に印象づけている。


アメリカではその手法を大昔から知っていて利用しているそうなんだけど、そのアメリカで9.11のテロがあった時、その後に「フセイン大量破壊兵器を持っている。」と情報を流し、国民の報復感情を煽ってイラク戦争にまで突入し、サダム・フセインを逮捕、そして死刑にして大喜びしていた。だけどアメリカがテロの首謀者と断定したのはウサマ・ビン・ラディンなのに。


原爆にしても、アメリカ国民は未だに「原爆投下が戦争終結を早めた。原爆投下は正しい判断だった。」という主張を国民の6割が信じている。そんな話を聞くと、日本人としては、アメリカ人は何か無理矢理自分たちを正当化しようとして誤摩化しているんじゃないか?と、真実を知りながら自分の心に嘘をついているかのように思えるんだけど、そんな事は全くなくて、原爆投下が正しかったと答える6割のアメリカ人はそれが当たり前の事実だと本気で思っている。その主張を発信しているのがアメリカの保守メディアや保守層の人々。まさにこれこそが情報操作のなせる仕業だし、エロやコメディ番組で脳を単純化させられ、思考力を低下させられたアメリカ人の現状。


私達日本人も知らぬ間に、一部の権力者達によって都合のいい情報を、あたかも真実であるかのように信じ込まされているのかも。日本は、今となってはほとんどのメディアが右寄りの中立だけど、特に保守系メディアといえばフジサンケイグループのフジテレビや産經新聞。正にエロ(女子)とお笑い。ニュース番組の中でも、政治よりも芸能・スポーツニュースなどの占める割合が高い。


フジテレビ・・・だけじゃなく今や民法テレビ全般は日本人の脳を、日本の未来をどうしたいんだろう?「難しい事なんて考えないで、日本の事は私達に任せておけばいいんだよ。」という悪魔の囁きが聞こえるようです。おかげですっかり難しい番組やドラマは視聴率を獲れなくなった。気合いを入れて作ったフジテレビ開局50周年記念ドラマ『不毛地帯』まで低視聴率で終わった。飽きっぽく調教させられた視聴者には、とても関心の持てる内容では無かったんだろう。皮肉な事に、自分たちのやった事の結果がこんな形で得られた。


保守、と言えば聞こえはいいけれど、結局は日本という国の形態だけを守りたいんであって、そのためには国民をいくら犠牲にしても構わないという連中ばかり。だけど肝心の、それを誘導している人達の中に、国を守るために自分の命を差し出すという人間はいない。


今自分達が常識だと思っているものが、実はそういう人達に都合のいいように植え付けられただけの情報かも知れない。疑うっていうのは自分を守る大切な行為だ。