平成の無血開城

ニュージーランド地震で被害に遭った人の何人かが帰国したけれど、マスコミの報道の『足を切断した○○さん帰国』ってあまりにも無神経じゃないですか?昨日今日とテレビは見ていないのでどう報じられたのか具体的には知りませんが、新聞の見出しや番組欄の項目で目にしました。


別にいつ帰国したかという情報は視聴者にとって重要ではない。帰国情報を事前に得ていたとしても、むしろそっとしておいてあげて欲しかった。ただでさえ心に大きな衝撃を受けているのだろうから。


それにしてもマスコミは、ニュージーランドでも実はTPP参加について反対運動が盛んに起こっている事もちゃんと報道しているのかな。


TPP参加に難色を示し出したニュージーランド地震、しかもアメリカ人の被害者(亡くなった方)がいないらしいとか。「まさかねー」と思いつつも、アメリカが人工地震を起こすという都市伝説が脳裏を霞める。いやいや、そんなSFのような事は・・・。


本題。
そのTPPだけど、フジテレビで放送した池上彰さんの番組での説明が酷かった。まるでTPPに反対している政治家は地元(選挙区)の農業利権を守るためだ、みたいな。


でも、小麦粉にしてもコーヒーにしても、多くを輸入に頼っている食材は海外の都合で簡単に値段を吊り上げられてしまう。


前にも書いたけれど、人間にとって食料というのは無くてはならない命綱なんだから、その多くをわざわざ手放すような真似をしようとしているのに「TPPに参加したら、もっと私達の食事が安くなるんですよ(海外の安い食材が手に入りますよ)。」というのは悪魔の囁きだなと思った。


ただ、池上彰さんというのは自分個人の主張をテレビなどで言う事を好まない人で、政党に頼まれて講演会をする時も交通費や食事代くらいしかお金を貰わない人だという話を聞いた事がある。


だからこのTPPに関する意見は、池上彰さんの主張というよりは、その池上彰さんを雇ったフジテレビの主張なんだろうなと思います。でもテレビを見た人は「池上彰さんの意見」として受け取ってしまう。おそらくこういう不自由さもあって、テレビなどから完全撤退する事を決めたのかな、と思う。


池上彰さんの話は置いといてTPPの話に戻りますが、TPPというのは農業や工業の自由貿易だと私達は思っているけれど、実際には医療や金融や労働者など、禁止と定めない全てのものに対して自由に加盟国が参入できるようになるのです。郵便貯金も民営化したけれど、仮にそこに外資が参入してきたら。まさか郵政民営化がその布石だったとまでは言わないけれど・・・。


サービス業も自由参入という事は、安い賃金でも喜んで働く外国人労働者達の登録している派遣会社が新規参入してきたら、日本の派遣労働者は出番が減り、文句すら言えなくなってしまう。


アメリカや中国(中国は参加しないけど)のように押しの強い国ならまだしも、日本政府は北方領土をロシアに勝手に開発されても止めさせる手立ても無くただ手をこまねいて見ているだけ。それは民主党政権だけが悪いのではなく、むしろ自民党政権がロシアの実効支配を放置しすぎた結果が今になって問題を引き起こしているので、例えば再び政権が自民党に戻るという事になっても、日本の弱腰外交は変わらないと思う。「TPPは平成の開国だ」と菅直人首相が声高に宣言しているけれど、このままでは江戸城無血開城のように無条件で日本市場をTPP加盟国(というかアメリカ)に明け渡すようなものなんじゃないでしょうか。