本が売れない理由

 世知辛いご時世に拍車をかけるように景気の悪い話をして申し訳ない、と最初に謝罪しておきます。


 今日、ブックオフに初めて本を売ってみた。一度読んだきりでほぼ新しい帯付き単行本を15冊。単行本なので一冊の定価は1,200円〜2,000円で、購入時の値段を合計すると2万円くらい。


 でもまぁ、買い取りってのは安く叩かれるもんだなと思い、一冊100円くらいでの買い取りで、1,500円くらいかい?と思いつつ査定に出した。


 返って来た見積もり額は、500円。えっ!傷無しほぼ新品の単行本が15冊も集まって500円!?買った時は20,000円だったものが500円!?




 私は本などは知識の箱だと思っているので、本来ならば一冊たりとも手放したくは無い。後々になって「あ、あの本に何か大事な事が・・・」と思うかも知れないし。


 だけど、今回の大震災で私の家もかなり揺れ、本などが散乱し、おまけに家の柱もひびが入ったりしてちょっと家を軽くしたいなと思い、いくつかの本を手放そうと決めたのです。(その割には15冊という未練がましい手放し方だけど)


 どの本を手放すかを選ぶ時には「いつか読むかも」と葛藤があったけれど、「私が執着して抱え込んでいるよりも、安い値段で色んな人に読んでもらった方がいいかも」と決断し向かったブックオフ。だけど、いざ500円という額を提示されると、テンションは下がり、そして「ブックオフの野郎、買い叩きやがって」という憎しみや「こんなに本に対して誠意の無い買い取り価格を提示してくるブックオフを儲けさせるくらいなら、地元の図書館に寄付した方が気持ち的にすっきりしたなぁ」と今更になって浮かんでくるアイデア。手放した本達にも申し訳が無い。お前達に価値が無いって訳じゃないんだよ。ブックオフに見る目が無いだけだ。


 結局、500円で売る事を決めたんだけど(結局売ったのか)、「今後ブックオフで本は買わないぞ」と心に決めつつ店を後にした。


 ここで痛感したのは、結局お金って大事なんだなという事。もし2,000円くらいの買い取り金額を提示されていたら「イエイ!また本買うぞ!」と喜んでいたんだろうに、ほんの1,500円の金額の差でこんなに怒りや虚しさや世の中の矛盾を味わうとは。


 その後、今話題になっている高嶋哲夫さんの『TSUNAMI』(集英社文庫)を読みたいなと思ってチェックしてみたら、文庫なのに860円もしていた。


 単行本15冊を売った金額より高い文庫本。




 だから本が売れないんだ!だからみんな図書館に走ってしまうんだ!


 今までも、「とにかく最近の本は高い!面白いかどうかわからないもののためにお金を払うほど今は裕福な時代じゃないのに。」と感じていたけれど、これに更に「だけど買い取りは安い」というマイナス要素が加わった。 


 Amazonでもリサイクル商品を個人で売れるようになっているけれど、あれは商品を送る時に自分の住所を買った人に知らせなくてはならないので、慎重な私としては見ず知らずの人に自分の住所を知らせたくない。


 私は思うのですが、本当に出版社が本をどうにか売りたいと思っているのなら、出版社が私達の読み終えた本を買い取って、図書カードなどと交換するシステムを作ってみたらどうでしょう。Amazon等大手ネットショップと提携して、『本しか買えないポイント』として還元しても良いし。


 「活字離れ」なんて、漠然と現象のように語られているけれど、実は明確な理由がある。それが身に沁みてわかった。