“当選責任”は問えないのか

 津波が東日本の沿岸を襲った時、津波の被害にはあっていない著名人や芸能人が「海が憎い」等々の詩やエッセイを発表したけれど、その人達が福島の原発事故によって汚染水を海に大量に投棄した事に関して「海よ申し訳ない」等々の詩やエッセイを発表した様子はないな。


 本題。
 松本龍興大臣の暴言が話題になっている。私も衝撃を受けた。


 何故松本前大臣があんな態度をとったのかの真相そのものは置いといて、暴言の映像が流された昨日はマスコミの論調も「こんな態度が許されるのか」といった非難一色だったんだけど、自民党の谷垣総裁を始めとする何人かが「本当は菅直人を貶めるためにわざとやったのかも」とか「大臣の職を辞めたかったのかも」と言い出したら、途端にそういう意見が増え始めた。昨日あれだけ「とんでもない人だ!」と激怒していた人が今日になって「実はあの行動には裏があったんじゃないかと思える。」なんて笑っちゃう。


 恐ろしいのは、こうやって発言を変えている人はその事に無自覚で、人の意見に影響されているのではなく自分でそう感じたんだと思っている事だ。せめて「裏の真意があるんじゃないかと言う人の意見を聞いて、私ももしかしたらそうかも知れないなと思った。」などと言うならわかるんだけど。


 大臣をやりたくなかったんだとしたら断れば良い。仮に演技だとして、あれだけの事をカメラ前でできる人なんだったら、菅直人氏からの大臣要請を断る事だってできるだろうし、大臣を降りなければならない口実…じゃないな、既成事実を作りたかったのだとしても、あんな風に被災地の人達を不快にさせるやり方じゃなくても良かったはず。


 そして、自分の態度の悪さで菅総理任命責任を問われるように計算された演技なのだとしたら、宮城県知事室に時間より早く行くのではなく、パリス・ヒルトンばりに数時間も待たせれば良かったんだ。時間より早く行くって、結構はりきってるじゃん。


 今回の松本前大臣の振る舞いを見て、菅総理任命責任もそうなんだけど、この人を当選させた彼の選挙区の人々の見識も疑いたくなった。よくあんな暴君を国会に送り込んだもんだよ。


 そうそう!あともう一つ、松本前大臣が「これはオフレコ。書いたらその社は終わり。」と付け加えていたけれど、新聞は本当にオフレコにして、その事を詳しくは書かなかった。テレビが朝に「オフレコだぞ」の部分も含めて放送し(私が見たのはテレビ朝日の番組)話が大事になったら翌日になって今度は詳しく書いてやんの。あー情けない!きっと他紙の記者同士で「やっぱ、書くのまずいよね。じゃあここは書かないって事で。」と意見を合わせたに違いない。