自民党議員に国会で批判されたモーニングバード

 はぁ・・・。久々にネットに接続したら情報が溢れ過ぎて疲れた。


 最近の日本の政治やマスコミは変だ。WBCの決勝戦を見たけれど、ドミニカ共和国が優勝して喜んでいる場面なのに、アナウンサーや解説者は讃える事なくそっちのけでしんみりと自国チームの反省などをしている。そんな心の狭い国だったっけ?


 原発事故で放射性物質が拡散し、自国民はもちろん他国にまでその影響をもたらしているのにマスコミや政治家はその事を明確には伝えず、内部被曝に怯える人々を「風評被害」と差別主義者のように印象づけて何もなかった事にしようとしているのに、中国から汚染物質が飛来してきたら、連日のようにその被害を煽る。どっちも危険なものに違いないんだから平等に伝えたら?と言いたくなる。


 今の日本という国を人間に例えたら、自分の家から出たゴミや悪臭には知らばっくれるのに、隣人が同じような事をした時だけわーわーと騒ぐかなり嫌な人だ。もっと謙虚で奥ゆかしい日本に戻ろうよ。(そもそもそれが幻想だったのか?いや、そんな事はないと思いたい。)


 本題。
 これも「最近おかしな日本」の一つ。
自由民主党大西英男(東京16区選出)という議員による衆議院予算委員会での質疑。


 冒頭にも述べたけど、久々にネットをした事で得た情報なので、知っている人達の間ではすでに大変な怒りの声とともに話題になっているみたいだけど、『言論統制』とまで言われ出していますね。確かに私もそう思う。


 この大西英男(大西ひでお)氏は衆議院総務委員会(平成25年度NHK予算審議)にてNHK会長の松本正之氏に対し「私はNHK報道の政治的中立性についてお尋ねをしたいと思う。」と前置きしこう続けた。

 「実は先日、早朝の会議に急ぐために車で移動していたら家内から、『お父さん大変よ 、今、テレビでTPPはとんでもないという事をやってるわよ 』という事で連絡があった。
私はすぐ家内に録画を録っておけよと言って、帰ってから深夜見たら、まぁとんでもない。NHKじゃなくてテレビ朝日、8時からの【モーニングバード】で、丁度、安倍晋三総理がTPP参加を表明した直後の放送だった。


 そこで孫崎亨という評論家、これ外務省出身だが、この人がTPPというのは『もう交渉の余地はない。決まってるんだ。今からでは手遅れだ。』あるいは『これアメリカの国家利益に奉仕する枠組みで、日本はアメリカの植民地化してしまう。』
こういう事を、メインコメンテーターとしてとうとうとやっている。
それで私は孫崎亨(マゴサキ ウケル)氏の今日までの政治的な発言について調べてみた。
とんでもないんですねー。
これは自らのツイッターや、あるいはテレビ報道でも言っているが『尖閣は中国の領土だ』『竹島は韓国の領土だ』こういったことを主張している。で、これは相当前からで、更に調べていくと、ナントナントNHKに何回か出演している。
例えば、平成24年9月の【NEWS WEB 24 尖閣竹島に日本はどう対応する】というこの大事な問題に、孫崎亨さんがメインコメンテーターとして出席をして、自説を言ってるが、少しトーンダウンしたかも知れない。
その後、何と今年、平成25年1月、【NHKスペシャル 2013世界とどう向き合うか】 という、世界に向けて日本の公共放送であるNHKが基本的な姿勢を示さんとするその番組にもコメンテーターとして出ている。
複数の人たちが出て、違った意見をいう事を妨げるものではない。
しかし、NHKの番組において主たる評論家として、一方的に自己の、我々にとっては正確を欠いている複数の人たちが出て、違った意をいう事を妨げるものではない。
しかし、NHKの番組において主たる評論家として、一方的に自己の、我々にとっては正確を欠いている、正しい認識とは思えないような主張を延々と続けていく、こういう事が許されていいのかどうか。
私はNHKの、こうした機会に、率直に見解を伺いたいと思う。」


孫崎享のつぶやき「大西英男議員の衆議院での私への批判」より一部要約して引用
http://ch.nicovideo.jp/magosaki/blomaga/ar168169?key=510ebac8e721826bd93147ffba609d2ee4b5eba73a52ae190a77d15393a82a8e



 冒頭の妻との会話が鬱陶しい事この上ない。ザーマスの顔がチラついて余計な腹立たしさが・・・。


 話を元に戻して、NHKの予算審議だというのにわざわざ他局のテレビ朝日の『モーニングバード』と番組名まで名指しし、しかもそのコメンテーターがただNHKに出ていたというだけで(「NHKの番組内でこういう問題発言があった」と具体的に指摘していない)「NHKの公共性はどうなってる!?」と予算をチラつかせ問いただすやり方。


 “権力は腐敗する”という言葉があるけれど、この人は
「我々にとっては正確を欠いている、正しい認識とは思えないような主張を延々と続けていく、こういう事が許されていいのかどうか。」と当然のように言っているけれど、「我々にとっては正確ではない事」が「世界での正解」とは限らないのに、NHKは我々=大西ひでお議員や自民党の尺度で正しいという事だけを述べている評論家や学者だけに発言機会を与えろと暗に強制している。


 この大西英男議員の公式サイトでの携帯日記に今回の発言について書かれている。
http://onishi-hideo.homepe.net/report/diary/


その中に

私は、10分間の質問時間のために、「戦後史の正体(2012年)」「日本の国境問題――尖閣竹島北方領土(2011年)」「日米同盟の正体――迷走する安全保障(2009年)」「日本外交 現場からの証言――握手と微笑とイエスでいいか(1993年)」など、孫崎氏の著書数冊を熟読させていただいた。



と書かれているけれど、熟読って意味わかってるのかな。この人の認識では、秘書に読ませてその要約を説明させる事や、ネットに書かれている感想をさらって読んだ気になる事を熟読というのだろうか?これらの著書を熟読した人は、決してあんな的外れな指摘をしないと思う。


 それとも、国会で国会議員が一人の人間を名指しして批判するという行為を物凄く軽く考えているのか、全くと言っていい程孫崎享氏の述べている事に関して勉強していない。少なくとも国会で名指しで批判できる程には。


 そもそも孫崎氏は『尖閣諸島竹島は中国や韓国の領土』などとは言っていない。あくまで「世界には様々な主張・視点があり、日本以外の国では必ずしも皆が日本の味方ではありませんよ。」と言っているに過ぎない。本も読めないのか、この人は。普段週刊誌のグラビアばっかり見てるんだろ。


 さらに自身の日記には

今、日本は、国の命運をかけてTPP交渉に臨んでいる。尖閣諸島竹島など、日本固有の領土を守るべく毅然とした姿勢を堅持している。


こうした厳しい状況の中で、反論の機会が与えられない番組構成のなかで、一方的に偏った言説のみを単独でとりあげることが果たして政治的中立性を保っているといえるのかと思い、NHKの姿勢を問うたところである。
(中略)
質問の中でも述べているように、専門家同士が討論するような形式で、孫崎氏の意見に対して反論する機会が与えられるならば何の問題もない。私が疑問に感じたのは、孫崎氏の独断と偏見によるものとしか思えない言説を、単独もしくは主たるコメンテーターとして、討論形式ではなく扱うことにより、視聴者に事実に対する誤解を与え、世界に対して間違ったメッセージを発信しないかということだ。

と書かれている。


 先にも書きましたが、「NHKの公共性を問う」と大義名分を掲げながら、具体的に槍玉にあがったのは民放局であるテレビ朝日の『モーニングバード』。


 その、槍玉にあがった『モーニングバード』だが、02/25には安倍政権のNSC有識者会議メンバーの一人でもある宮家邦彦氏が単独で登場し、「TPP交渉は途中で不参加を表明する事ができる」などと言いきっていたが、その後に東京新聞でそれが事実ではない事が一面に載っていた。その点についてザーマス妻も含めどう受け止めているのだろう?一方的な意見で、なおかつ正確ではない事あっても、安倍政権に逆らってなければいくら発言してもいいのでしょうか。


 更に、「専門家同士が討論するような形式で、孫崎氏の意見に対して反論する機会が与えられるならば何の問題もない。」と言いながら、孫崎氏が出演しているとして問題視されたNHKの番組『NHKスペシャル 2013世界とどう向き合うか』には、アメリカのキャンベル国務次官補に鳩山由紀夫首相(肩書きはともに2009年当時)の弱点をアドバイスした岡本行夫氏も出て持論を展開していたし、岡本氏が孫崎氏の意見に反論する場面も見られた。


 この大西英男という議員は自分の立場がわかっていないのだろうか?これを言論統制と呼ばすに何をそう呼ぶのか。そして、自分達に都合の悪い意見を言われた時だけ「偏っている」「正確ではない」と決めつけるけれど、偏っているのはどっちなんだと問い返したい。それに、(これはNHKでの発言ではないが)『もう交渉の余地はない。決まってるんだ。今からでは手遅れだ。』という発言が正確ではないと公の場で批判するのなら、政治家として明確にその根拠を示せと言いたい。それができないのに一人の人間を名指しで批判したのであれば、国の命運を左右するような決断を有する権力を今すぐ手放すべきだ。