複雑な気持ちになるアイス・バケツ・チャレンジ

 私はツイッターとかやっていないので、ネット上で広まっていく状態を見ていたというよりもテレビの報道(一番最初はTOKYO MXの『モーニングクロス』)で知ったんだけど、この『モーニングクロス』では、まず最初に「難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者を支援する活動として」と説明していたので、この取り組みに対しては何の疑いもなくすごくいいなーと思ったんだけど、それが日本に広がると「そんな不謹慎な広げ方はいかがなものか」的な批判が聞こえるようになってきた。


 私は身内に難病の者がいる事もあってか、「何言ってるんだ。特効薬の無い事が患者にとってどんなに負担かわかってるのか?眉間にシワよせ生真面目な対応のまま放置されるより、笑っても(しかもバカにした笑いじゃないし)それによって現状が広まり寄付が集まって研究が進んだ方がいいのに!」と怒り心頭になった。


 だけど、この段階では私は日本でどう広まっているか知らず(しつこいけどツイッターとかやってないから)新聞に載っていた「iPSの山中教授がチャレンジした」くらいの情報しか無かったので、まだ日本におけるアイスバケットチャレンジが素敵な善意によって広まっていると信じ込んでいた。


 だけど、今現在の日本の芸能界・著名人で繰り広げられているアイスバケットチャレンジを見ると、難病の役にたって欲しい、と思う一方で「もう終わったな・・・」と呟かざるを得ない。


 これ、同じ芸能人でも藤原紀香さんとか吉永小百合さんとか、最近だったらキムラ緑子さん等々、日頃から社会の出来事に目を向け危機感を抱いている人達ばかりがやっていたらこんなシラケた感じにならなかったと思うんだけど、今喜んでやってる芸能人の多くは、東北の震災からの復興は置き去りにして「東京オリンピックイエーイ!」とか深く考えず権力の言いなりではしゃぐ人達だから、見ているこちら側としても「意味もよく知らないでクリスマスやハロウィンやバレンタインに参加する人達」を見た時と同じ違和感を感じちゃうんだね。
きっとこのチャレンジがアジアから広まっていたら真似しなかっただろうなと思わせる人達なのよ。


 ただ、深刻な現状に対するものであっても、今回のように笑顔でパフォーマンスをして広げていく事に関しては私は何の異論もありません。動物を救う活動とかにも応用できないかな。ただ、その主旨に賛同していない人にはやって欲しくない。