変わつちまつた松本に

 今更だけど、『陸王』、良かったなぁ。(録画で見ているので私の中では今が旬)
 役所広司さんは本当に素晴らしいですね。「走れーーー!陸王ーーー!」というかけ声だけで人を泣かせる。声の中に映像以上のものを込められる。名優の技とはこういうものかと思い知る。こういう人の演技をテレビで見られるというのは幸せだ。最近日本のテレビで見かけない真田広之さんの芝居も、こんな風に茶の間で見てみたい。


 本題。
 松本人志さんはワイドナショーをやるようになって変わったのかな。
 案の定『ガキの使い〜』での顔黒塗り問題をこの番組(ワイドナ)で正当化したらしい、と聞きました。というか勝手に喧嘩腰になってるよね。別に「傷つけたならごめんなさい。」と謝る事は負けじゃないのに。ちなみに私は、私だけの世界なら全然問題なかったと思うし、主人公の人種が問題になった絵本の『ちびくろサンボ』の話も大好きで、私にとっては主人公がアフリカ系外国人であるという点は重要ではなく、虎が走り回ってできたバターっておいしそうだよなー、と思う程度の認識だった。でも、自分に差別の感情が無ければ何を言ってもどう振る舞ってもいいとは思わないし、ましてやその肌の色ゆえにいたずらに殺されたりしてきた過去を持つ人々が「私達の肌の色(人種)を笑いのオチに使わないで」と訴えているのだから、これは普通に考えて相手の言い分を聞くものだろう、と思う。

 前にも書いたけど、差別の当事者ではない日本人が「気にし過ぎー(ヘラヘラ)」とか、どこかのタレントみたいにしたり顔で「非難するという事はその人に差別の感情があるという事」とか訳わからない主張をする事が理解できないし、「日本人ってこんなに優しくなくなっちゃったの?」と落ち込んでしまった。(自分が優しい人間だとは言っていない。ただわからない人が優しくない人だなと思うだけで)

 話はそれましたが、松本人志さんが変わってしまったのかな?と思った理由。ふと思い出したのだが、まだ私がこの番組を見ていた頃にバカリズムさんが欧州系外国人を表現するためにツケ鼻と金髪のカツラを装着して出たANAのCMが「白人差別だ」と、これも外国人側から苦情が入り放送を中止(内容を変えて放送)したというニュースを番組で扱った事があったよなーと思い出したのです。その時ゲストにはホラン千秋さんがいて、ホランさんの父親は欧州系外国人で、彼女の父はやはり高い鼻や小さい顔の事を言われるのは嫌な気持ちになるとか言っていた。

 でもその時松本人志さんがどんな意見を言ったのかは忘れてしまったが、「外国人の容姿を模倣するのはともすれば差別と受け取られる」という情報は松本人志さんの中に入っていたという事になる。なのに今回同じ事をしてしまい、しかも初めての出来事というか、やりずらい世の中に変わっちまった的な意見を言っていたらしいので、何を今更…と改めて思った次第です。

 そこで、バカリズムさんのツケ鼻&金髪カツラの件で松本さんはどう言っていたのか誰かネットにアップしていないかしら?と思い検索してみた。ネットって便利。

 出てきた。
 小倉智昭全日空CM騒動に「騒ぐことじゃない」「この程度のことで心が狭い」ライブドアニュース
http://news.livedoor.com/article/detail/8503123/

問題となったCMは、ANA羽田空港発着の国際線が増便することをPRするもので、1月18日から放送を開始したもの。CMでは、お笑いタレントのバカリズムが金髪のかつらとつけ鼻で外国人に扮する演出をしたことから、外国人を中心に「人種差別的だ」と批判され打ち切りとなった。

ワイドナショー」で、CM打ち切りのニュースが取り上げられると、ゲストコメンテーターのホラン千秋は、父親がアイルランド人であることを紹介しながら外国人の意見を代弁。ホラン千秋の父親は「鼻が高い」と言われると嫌がるのだといい、「鼻が高いということが美徳なわけではない」と主張した。

松本人志も過去にコントで付け鼻を付けたこともあったが「バカにしてるわけじゃないと」と弁明。しかし松本は「誤解は生じてるだったらそれはなんとかしないと」と外国人の意見を聞く必要もあるのではないかと意見した。

なに!?

松本は「誤解は生じてるだったらそれはなんとかしないと」と外国人の意見を聞く必要もあるのではないかと意見した。

おお!この時(2014年2月3日)の松本さんは「相手の思いがあっての抗議」だと受け止める度量があったのだな。今は抗議に対して思考停止しているというか、ただ自分に難癖をつけてくる敵、ぐらいの受け止め方になってしまった。人間って成長するものだと思うけれど、松本さんは退化してしまったのだろうか。