朝鮮分断の政権利用

 オリンピック!
 スポーツは好きだがマスコミが連呼する「メダルを!」という押しつけには辟易。でも、選手達が健気にその期待に応えようと奮闘する様には胸を締め付けられる。このレベルに達するアスリートなら、他者から押し付けられなくともいい結果を出したい気持ちは人一倍強いだろうに、その上外部からのプレッシャーまで請け負わなければならないなんて。メダルを獲る事でその苦労が報われるなら、その選手達のためだけにはメダルを獲って欲しいと思う。どうか国民のためだなどと気負わないでおくれ。


 本題。
 「オリンピックの政治利用」とマスコミは怒るが、北朝鮮の応援団を美女軍団と呼んで追いかけたり、金正恩の妹の動向を過剰なまでに報じたり、私から見ると喜んで利用されているように見える。それは韓国内でも同じなようで、BBCによる韓国レポートでは、「テレビをつければ金与正が出てくる」状態で韓国国民もちょっとウンザリ気味だとか。日本のお相撲状態だね。

 でも、北朝鮮のナンバー2だという金永南氏が北と南の歌手合同で催されたコンサートで涙を流していたのが気になった。あの年代の人は分断されていない時代を知っているから、この融和なムードは北朝鮮のパフォーマンスだったとしても、金永南氏個人の思いとしては「戻りたい」というのが本音なのかもなぁ、と。果たして金正恩の本音はどこにあるのだろう?金永南金正恩に助言できる立場ならいいのだが・・・。

 そして安倍政権は、オリンピックの政治利用ならぬ北朝鮮の政治利用だね。欧米の主要メディアのニュース(といっても英語圏)を見ると、今回韓国が北朝鮮を招いた事を批判しているものはほとんどない。というか、必死になって批判しているのは日本くらいで、アメリカですら韓国の大統領が北朝鮮を招いた事は批判していない。(この事で北朝鮮に対する態度を変える事はないし、また元に戻るかも知れないと思っているが、この交流そのものを「何やってるんだ!」と批判してはいない。)

 成り行きを見守らず北朝鮮との対話を否定する報道を耳にする度に、 衆院選での自民党の圧勝について「明らかに北朝鮮のおかげもある」と発言した麻生太郎副総理兼財務相の麻生氏の言葉が脳内でリフレインする。

 「(ダミ声で)北朝鮮のおかげ……北朝鮮のおかげ……北朝鮮のおかげ……旅ぃ行けぇばー……」あ!頭の中で麻生さんが浪曲歌っちゃった。

 まだまだ北朝鮮には揉めていて欲しい勢力が与党側にいる事を忘れちゃいけない。