見違えたみよ吉

 今週(第四話)の『昭和元禄落語心中』も良かった。
 本音を言うと、先週はそうでもなかった。このドラマは、あらすじそのものはそんなに独特な話ではないが、ドラマに流れる幽玄的な世界観が素敵だよなーと思いながら私は見ている。セットや照明など物理的な効果だけでなく、役者さんも主演の岡田将生さんの演技を始めとして、古い時代の独特な社会を表現している。
 でも先週は、重要な役であるみよ吉(大政絢さん)の口調(速さや発音など)がどうにも現代的で、この人が喋る度に、昭和元禄落語心中の世界から現実へと引きずり戻されてしまう残念さがあった。岡田将生さんの場面でガムの事など思い起こしもしなかったが、みよ吉が話す度に林修先生が浮かんだよ。なぜ演出家は演技指導しないのか。感性の違いなのだろうか。

 しかし、不思議な事に今週は全然違和感を持たなかった。一週でこんなに変わるとは。戦後の、身分の低いというか立場の弱い女性の切なさが痛いほど伝わり、みよ吉が愛おしく思えた。そして際立つ菊比古の冷酷さ。本当は別れたくないけれどしょうがないんだ、と口では言うが、全然そんな感じがしないぞ!

 そして何より、柳家喬太郎師匠の場面が最高で身震いしちゃいました。甘栗むいちゃいました。過去にも落語をテーマにした映画やドラマはあったが、岡田将生さんって他の役者に比べて落語うまいよなーと思っていたけれど、今週は先に喬太郎師匠がやってしまったから・・・。あの人と比べちゃ駄目か。